TECHNOLOGY / 03
LiDAR|光の往復時間で、形と距離をそのまま測る
レーザーを打って、返ってくるまでの時間から距離を測る。それを毎秒何十万回もくり返すと、構造物も木も電線も「点の雲」になるんよ。送電線と木の離隔、トンネルや坑道の中の地図づくり、写真測量との使い分けまで見ていこうや。
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LiDARのしくみ
LiDARは、レーザーの光が対象に当たって戻るまでの時間を測る。距離 = 光の速さ × 往復時間 ÷ 2じゃ。光は1ナノ秒で約30cm進むけぇ、往復で考えると1ナノ秒の差が約15cmの距離の差になる。じゃけぇ、時間をものすごう細かく測る電子回路が心臓部なんよ。
| 要素 | しくみ | 点検での意味 |
|---|---|---|
| 波長 | 905nm 前後と 1550nm 前後が多い | 1550nmは目の安全の面で出力を上げやすいが、水に吸われやすい |
| 走査 | 回転ミラー、多層の回転ヘッド、プリズムによる非反復パターンなど | 点の並び方と、細い電線への当たりやすさが変わる |
| マルチリターン | 1発の光が葉・枝・地面から複数回返る | 木の下の地面や、植生の高さが取れる |
| 反射強度 | 返ってきた光の強さ | 路面標示、濡れ、材質の違いの手がかり |
| 軌跡(GNSS+IMU) | 機体の位置と姿勢を高頻度で記録 | 1点ごとの座標は、これがないと決まらん |
大事なのは最後の行じゃ。ドローンのLiDARは、レーザーが測るのは「機体からの距離と向き」だけで、地図の座標は機体の位置と姿勢の精度で決まる。GNSSが届かん場所では、この軌跡を周りの形から推定するSLAMに切り替える必要があるんよ。
点群とは何か
LiDARの成果は点群じゃ。1点ごとに座標(X・Y・Z)、反射強度、何番目の返りか、時刻を持つ。標準的な形式としてはASPRSのLAS(圧縮版はLAZ)がよう使われる。カメラの色を重ねれば、色付き点群にもなるんよ。
- 点密度:1m²あたりの点の数。細い電線や小さい部材を捉えるには、密度と当たる角度が要る。
- 分類:地面・建物・植生・電線・鉄塔などに点を仕分ける。自動分類のあとに人が直すのが普通じゃ。
- DTM・DSM:地面だけの高さ(DTM)と、木や建物を含む表面の高さ(DSM)。差を取れば木の高さになる。
- 断面:トンネルや管路は、点群から断面を切り出して内空の変形を見る。
送電線の離隔と、木の管理
LiDARが一番実用になっとる点検の一つが、送電線・配電線じゃ。電線と木・建物・地面との離隔(すき間)を、線路に沿って長い距離まとめて測れる。森の中でも、マルチリターンで葉のすき間から地面と木の高さが取れるけぇ、ヘリや徒歩の巡視よりずっと速いんよ。
| 工程 | やること | 注意 |
|---|---|---|
| 計測 | 線路に沿って飛び、電線・鉄塔・木を点群化 | 細い電線に十分な点が当たる密度と角度 |
| 分類 | 電線・鉄塔・植生・地面に仕分け | 電線のそばの枝は誤分類しやすい |
| 電線のモデル化 | 点にカテナリー(たるみの曲線)を当てはめる | 計測した時の気温・電流でたるみが違う |
| 最悪条件の想定 | 高温・大電流・強風でのたるみと横振れを計算 | 想定条件は設計基準と電力会社の方針による |
| 伐採の計画 | 離隔が足りん木と、そこまでの残り年数を一覧に | 木の成長の速さは樹種と土地で違う |
鉄道の架線や沿線の木にも同じ考え方が使える。電線の近くを飛ぶ時は、電磁界で機体のコンパスや通信が乱れることがあるけぇ、距離を取って飛ぶのが基本じゃ。強い電磁界
構造物の中を測る:SLAM
トンネル、鉱山・坑道、貯槽・タンク、ボイラー・炉内の中ではGNSSが使えん。そこでLiDARの点群を前後で照らし合わせて、自分の動きと周りの地図を同時に作る(SLAM)。暗闇でも測れるのがカメラにない強みじゃ。衝突を許すケージ付きの機体にLiDARを積んだもの(例:Flyability Elios 3)もあるんよ。
| 苦手な場面 | 何が起きる | 対策 |
|---|---|---|
| 長くて単調なトンネル・管路 | 前後方向の動きが点群から決まらず、距離が縮んだり伸びたりする | 既知の点(坑口・目印)、走行距離の情報、往復して閉じる |
| 広くてがらんとした空間 | 壁が遠くて点がまばら | 壁沿いに飛ぶ、レンジの長いセンサー |
| 粉じん・煙・霧・湯気 | レーザーが粒に当たって偽の点が出る | フィルタ処理、レーダーとの併用 |
| 水面・濡れた面・鏡面 | 点が返らん、または映り込みの点 | 角度を変える、カメラと併用 |
| 長い時間の計測 | 誤差が少しずつたまる(ドリフト) | 同じ場所に戻って閉じる(ループ閉じ込み) |
精度を決めるもの
LiDARのカタログにある「測距精度」は、センサー単体の数字じゃ。地図としての精度は、それに軌跡の誤差、取り付け角の誤差、ビームの広がりが積み重なって決まる。条件のええドローンLiDARの成果でも、目安は数cm程度と考えといて、必ず検証点で確かめようや。
| 誤差のもと | 効き方 | 抑え方 |
|---|---|---|
| GNSS の位置 | 点群全体がずれる | RTK・PPK、基準局、検証点 |
| IMU の姿勢 | 遠い点ほど大きくずれる(角度×距離) | 高品質IMU、飛行前後の初期化、近くを飛ぶ |
| 取り付け角(ボアサイト) | コースごとに点群が食い違う | 校正飛行、往復の重ね合わせ |
| ビームの広がり | 遠いほど光の点が大きく、細部がぼける | 近づく、細いビームのセンサー |
| 入射角・材質 | 浅い角度や黒い面で点が乱れる・減る | 面に対して角度を付けて飛ぶ |
「何cm精度」と言うなら、どの点で、何点で確かめたかを一緒に書く。それが書けん数字は、カタログの数字と同じじゃ。
LiDARか、写真測量か
| 観点 | LiDAR | 写真測量 |
|---|---|---|
| 暗さ | 暗くても測れる | 光が要る |
| 木の下の地面 | マルチリターンで届く | 葉に隠れて取れん |
| 細い電線 | 点が当たれば取れる | ほとんど再現できん |
| 模様のない面 | 問題なし | つながりにくい |
| 色・ひび割れ | 分からん(強度で少しだけ) | 得意(可視光カメラ) |
| 細かさ | 点の間隔で決まる。mm単位の表面は苦手 | GSD次第でmm単位も |
| 機材と処理 | 高価・重い、軌跡処理が要る | 安価・軽い、計算に時間がかかる |
実際は両方を積むことが増えとる。LiDARで形と位置の骨組みを作り、カメラの写真で色と細部を貼る。ひび割れの幅は写真で測り、変形や離隔はLiDARで測る、という分担じゃ。
見た目の3Dと、測量としての精度をどう分けて扱うかは、見た目と精度を分ける測量・点群の流れ(Airffic Flight Institute)で順番に読めるよ。
LiDARにできんこと
- 表面の細かい変状:細いひび割れや錆の色は、点群では分からん。
- 水の中:一般的な近赤外のLiDARは水に吸われる。水深を測るには緑色レーザーの測深LiDARが要り、濁りに弱い。
- 粉じん・煙・雨:粒に当たって偽の点や欠けが出る。
- 単調な空間のSLAM:長いトンネルでは、目印なしに距離を正しく保つのが難しい。
- 判断:離隔が足りんかどうかの基準や、伐採の優先順位を決めるのは管理者じゃ。
2035年の見立て
2035年には、LiDARはもっと軽く安うなって、点検用の機体の多くにカメラと一緒に標準で載っとるじゃろう。送電線の線路は毎年同じ経路で計測され、木の伸びと電線のたるみの予測から、伐採の時期が自動で提案される。坑道やタンクの中は、SLAMの点群が前回と重ねられて、内壁の変形だけが色で示される。これは編集部の見立てじゃ。
それでも、点群の精度を保証するのは、昔ながらの検証点と、条件の記録じゃ。測れる量が増えるほど、「どこまで信じてええか」を示す仕事の重みが増すんよ。
根拠を確かめる
制度・数値・事例は下の資料を参照しとる。未来像と設計の提案は、編集部の独自の見立てじゃ。
- USGS: Update LAS reference to R15 (ASPRS LAS 1.4 in the Lidar Base Specification)U.S. Geological Survey · 本文確認
- USGS: 3D Elevation Program (3DEP)U.S. Geological Survey · 本文確認
- Flyability launches Elios 3 indoor inspection drone with LiDAR (press release, 2022)LIDAR News (Flyability press release) · 検索抜粋のみ
参照確認日: 2026-10-22