Airffic Inspectionドローン点検の未来ガイド

ASSET / STORAGE-TANK

貯槽・タンク点検|鋼の壁の内と外を、人が入らずに見る

石油、化学品、ガス。巨大なタンクは、屋根の上も、側板の高い所も、中も、人が行くには危ない場所ばっかりなんよ。足場と入槽に頼ってきた点検を、ドローンがどこまで代われるか、底板みたいに代われん所はどこかを分けて見ていこうや。

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タンクは、どこから傷むんか

鋼製の貯槽の劣化は、ほとんどが腐食じゃ。底板は土の側(裏面)と、たまった水やスラッジの側(表面)の両方から攻められる。側板は雨と日差しで外面が傷み、保温材の下に水が入ると保温材下腐食(CUI)が見えんところで進む。ほかに溶接部のき裂、基礎の不同沈下による変形、浮き屋根の不具合が大きな故障の入り口になるんよ。

部位起こりやすい変状見落とすと
底板・アニュラ板裏面の土壌腐食、表面の孔食、溶接部のき裂漏えい、土壌・地下水の汚染
側板外面の腐食・塗膜劣化、保温材下腐食、溶接部のき裂板厚の減少、局部座屈、破損
固定屋根腐食による減肉・穴あき、垂木の腐食雨水の浸入、人が乗ると踏み抜き
浮き屋根ポンツーンの腐食・浸水、シールの劣化、屋根排水の詰まり屋根の傾き・沈没、シール部からの火災
基礎・周辺不同沈下、雨水の浸入、防油堤のひび割れタンクの傾き、漏えい時の流出拡大
球形タンク(ガス)支柱・ブレースの腐食、溶接部のき裂支持の喪失、地震時の被害拡大

地震も忘れられん。2003年の十勝沖地震では、長周期の揺れで中の油が大きく揺れるスロッシングが起き、苫小牧で浮き屋根のタンク火災につながった。浮き屋根とシールまわりの状態は、平時の点検でこそ見ておきたい場所なんよ。

02

いまの点検と、その痛み

点検は大きく二つ。タンクを使いながら外から見る外部点検と、中身を抜いて開ける開放点検(内部点検)じゃ。開放点検では、中身を抜き、残ったスラッジを除き、ガスを追い出して(ガスフリー)、酸素濃度と可燃性ガスを測ってから、ようやく人が入れる。大型タンクなら、準備から復旧まで長いと数か月かかることもあるんよ。

近づく方法得意痛み
地上・階段からの目視安い・速い屋根の上や側板の上部は遠くて細部が見えん
足場・ゴンドラ・高所作業車側板に手が届き、板厚も測れる設置に日数と費用、高所作業の墜落リスク
ロープアクセス足場なしで側板に近づける熟練者が少ない、可燃性ガスのある場所では制約が多い
浮き屋根の上に降りるシールや排水を直接見られる屋根上にガスがたまりやすく、酸欠・中毒・墜落の危険
入槽しての開放点検底板の探傷(磁気・超音波)、溶接部の検査長い停止、清掃とガスフリーの手間、密閉空間の危険

一番重いのは、停止の損失と入槽の危険じゃ。タンクを一基止めると、その分の貯蔵や出荷の段取りが狂う。密閉空間での酸欠や有毒ガスの事故は、日本でも海外でも繰り返されとる。人が中に入る時間を一分でも短うすることが、タンク点検の一番の課題なんよ。

03

ドローンで、こう変わる

ドローンの役目は、高い所と中の空間に、人の代わりに目を運ぶことじゃ。外は使いながら、中は開けた後に人が入る前に飛ばす。用途ごとに機体とセンサーを使い分けるんよ。

やり方機体・センサーの例向いとる場面
外面の全周撮影GNSS が使える汎用機+ズーム・高画素カメラ側板・屋根・ノズル・階段、塗膜劣化の把握
浮き屋根の確認汎用機+ズーム・赤外線カメラシール・排水・屋根の傾き。人が屋根に降りる回数を減らす
赤外線による液面・スラッジ面の推定赤外線カメラ中身の温度差から液面やスラッジの高さを外から推定
内部の近接撮影球体ケージ付き機体+照明(例:Flyability Elios 3)開放後の側板内面・屋根裏・柱。足場を組む前の全体確認
内部の3D計測LiDAR 搭載の機体丸み・傾き・変形の測定、点検記録の3D化
接触式の板厚測定超音波厚さ計付きの機体(例:Voliro、Skygauge 系)側板・屋根の板厚(現場での導入が進みつつある段階)

円筒のタンクは、周回しながら高さを変えて帯状に撮るのが基本じゃ。帯どうしを重ねて撮っておけば、あとで展開図(側板を平らに開いた図)にでき、腐食の位置を段(コース)と方位で記録できる。中の点検では「まずドローンで全体を見て、足場が要る場所だけに足場を組む」流れにすると、足場の量そのものを減らせるんよ。

04

環境の壁を越える

タンクの中は、ドローンにとってきつい場所じゃ。鋼の壁に囲まれて GNSS は入らんし、鋼が磁気を乱してコンパスは当てにならん。照明を消せば真っ暗で、ガスフリーしてもガスや酸欠の心配は残る。外を飛ぶ時も、タンクヤードは可燃性の蒸気が出るかもしれん危険区域なんよ。

  • 狭小空間:壁に当たっても落ちにくい球体ケージ機を使い、マンホールから出し入れできる大きさを選ぶ。狭小空間
  • 暗所:機体の照明で、露出を固定して撮る。壁が光を反射してまぶしくなる所は角度を変える。暗所
  • 非GPS環境:カメラや LiDAR で位置を推定する機体を選ぶ。のっぺりした壁は特徴が少ないけぇ、推定が崩れやすいと心得とく。非GPS環境
  • 磁気の乱れ:磁気に頼らん飛行モードを使い、離陸前にセンサーの状態を確かめる。磁気の乱れ
  • 爆発性雰囲気:一般的なドローンは防爆構造ではない。ガス濃度を測り、作業許可の手順に組み込んでから飛ばす。爆発性雰囲気
  • 酸欠・有毒ガス:ドローンにガス検知器を積んで先に入れ、人が入る前の確認に使う方法もある。酸欠・有毒ガス
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画像から、判断へ

タンク点検の答えは、最後は板厚と腐食速度に行き着く。どれだけ減ったか、どの速さで減っとるか、次はいつ開けるか。写真と3Dデータはその判断の材料を速う集める道具で、合否や次回の時期を決めるのは検査の責任者じゃ。

工程機械ができること人が持つ責任
検出錆・塗膜の剥がれ・膨れの候補を画像から拾う見逃し・誤検出の確認
位置付け展開図や3Dモデルに段・方位で配置ノズル番号や過去の補修記録との対応
形状計測点群から丸み・傾き・沈下を計算許容値との比較、基礎の調査が要るかの判断
板厚・腐食速度測定値の集計、前回との差から速度を計算測る場所の選び方、残りの寿命と次回開放時期の判断
判定—補修・取替・使用継続の判断、法定記録への責任
Airffic の見立て

タンクは「次に開けるまでの年数」を、腐食速度とリスクで決める考え方(リスクベース検査)に移りつつある。そのためには、外から何度も見たデータが要る。ドローンで外面と浮き屋根を毎年同じように撮っておくことが、開放の回数を減らす根拠を育てるんよ。

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ルールと責任

日本では、石油などの危険物タンクは消防法の「屋外タンク貯蔵所」として、定期点検が求められる。容量1,000kL以上の特定屋外タンク貯蔵所には、規模に応じて開放しての内部点検や、市町村長等による保安検査の仕組みがあり、その間隔はタンクの保安措置によって変わる(例:1,000kL以上1万kL未満の内部点検は原則13年以内、措置を講じて届け出れば15年以内)。LPGなどの球形タンクは高圧ガス保安法の側で検査を受けるんよ。

プラントの中でドローンを飛ばすことについては、経済産業省・総務省消防庁・厚生労働省がプラントでのドローンの安全な運用に関するガイドラインをまとめとる。危険区域のそばでの飛ばし方や、ガス検知、中止の判断などを整理したもので、事業所の社内ルールづくりの土台になるんよ。

海外では、米国の API 653(地上タンクの検査・補修の規格)が広く使われ、有資格の検査員による外面の目視を5年以内の間隔で行うことなどを定めとる。英国では EEMUA 159 が同じ役割を担う。どちらも「何を、誰が、どの間隔で見るか」を決めるもので、ドローンはその中で使う道具という位置付けじゃ。飛ばす側のルールは各国の規制で比べられるよ。

出典:国土交通省|無人航空機の飛行ルール
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ドローンにできんこと

  • 底板の裏面:土の側の腐食は写真では分からん。開放して磁気探傷や超音波で測るか、使用中ならアコースティック・エミッションなどの別の方法になる。
  • 保温材の下:保温材を剥がさんと見えん。赤外線で水の入った場所の当たりは付けられても、腐食の量は測れん。
  • 溶接部の内部欠陥:き裂の深さや内部の欠陥には、超音波探傷などの非破壊検査が要る。
  • 防爆が要る場所での飛行:使用中のタンクのすぐそばや中を、一般的な機体で飛ぶことはできん。
  • 清掃とガスフリー:中を飛ぶにも、まず空にして清掃せんといけん。この手間はドローンでは減らん。
  • 合否の判定:板厚の評価、補修の判断、法定記録への責任は人じゃ。
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2035年、点検が実現した世界

タンクヤードの端に、ドローンの格納庫がある。週に一度、ドローンは決まった経路で全部のタンクを回り、浮き屋根の傾きとシールの状態、側板の塗膜を前回と同じ角度で撮る。地震の後には、誰かが屋根に登る前に、全部のタンクの浮き屋根が確認されとる。

開放点検の日、最初に入るのはケージ付きのドローンじゃ。ガスの濃度を測り、内面を全部撮り、3Dの記録を残す。人が入るのは、板厚を測り、直す場所だけ。これは編集部の見立てじゃけど、底板の検査だけは、その時代も別の技術と人の手に頼っとるはずなんよ。

PREPARATION

飛ぶ前の準備チェック

チェックはこの端末(ログインすれば共通アカウント)に保存されるよ。学習用の確認で、許可や安全の証明ではないけぇね。

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制度・数値・事例は下の資料を参照しとる。未来像と設計の提案は、編集部の独自の見立てじゃ。

参照確認日: 2026-10-22